点滴静脈内注射

看護技術
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点滴静脈内注射は、穿刺技術から点滴管理まで、日々かかわっていく技術です。また、点滴静脈内注射はインシデントも多く、一連の流れの中でどの部分においてもインシデントが起こりえます。患者誤認、敵下数の間違い、刺入部トラブル、自己抜針、薬液間違い、過少投与、感染・・・あげればきりがありませんが、患者の治療にかかわる技術ですので、確実に安全に施行できることが求められます。「薬剤の準備時・投与直前に6Rを確認する」ことが大切です。「6Rの確認」にも触れていきますので、一緒に確認していきましょう

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目的

  1. 経口摂取または経腸より水分、薬剤、栄養を十分に摂取できない場合
  2. 抗生剤などの静脈内投与
  3. 皮下注射または筋肉内注射の不適当な薬物を与える場合
  4. 薬剤を持続的に投与する必要がある場合
  5. 重症者や救急患者や手術時の静脈路確保

必要物品

注射処方箋 注射ラベル 指示された薬液 輸液セット 針(翼状針・留置針・逆流防止弁付き留置針) アルコール綿またはクロルヘキシジン 肘枕 駆血帯 点滴スタンドもしくはフック 未滅菌手袋 固定用絆創膏 トレイ 針廃棄容器 検診用ロールシーツ

必要時:三方活栓 延長チューブ 輸液ポンプ シリンジポンプ テガダームI.V (滅菌)   マスク・エプロン  擦式消毒用アルコール製剤 ブラッドバン エア針

方法・留意点

実施前の準備

  1. 手指衛生、または擦式アルコール製剤での消毒を実施
  2. 注射準備台を除菌クロスで拭き、環境を清潔にし、使用するトレイをアルコール綿で拭く

ミキシング認証

電子カルテ導入・オーダーリング導入によって異なりますが、ここでは電子カルテでの認証方法について一般的な方法を説明します。

入院の場合

  1. 薬剤、注射処方箋、注射ラベルを準備し、その3種類の内容が同じであるか6R確認する
  2. 注射処方箋と注射ラベルと薬剤がオーダされたものである事を電子カルテで確認する
  3. ミキシング業務から【注射ラベルのバーコード】を読み取り「○」を確認する

外来の場合

  1. オーダ画面で注射処方箋と薬剤がオーダされたものであることを確認する
  2. 予約注射の場合は【基本スケジュールまたは受付票のバーコード】と【注射ラベルのバーコーード】を読み取り「○」を確認する。
  3. 当日注射の場合は処置注射一覧から【基本スケジュールまたは受付票のバーコード】を読み取り実施入力を行う

薬剤の調整

  1. 必要物品をそろえる
  2. 手指衛生、または擦式消毒用アルコール製剤での消毒を実施

    「手指衛生5つのタイミング」の「清潔・無菌操作の前」ですね!患者の体内に微生物が侵入することを防ぐために行います。

  3. マスクの着用・未滅菌手袋を装着する
  4. 点滴ボトルのシールがきちんとされていることを確認後、シールを剥がし、ゴム栓部をしっかりと消毒をする シールが剥がれている物は安全性が保証できない
  5. 薬剤の確認3回を徹底する
    ①注射伝票と薬剤(薬剤を取り出す時)
    ②薬剤の吸い上時
    ③空アンプルや空バイアルを捨てる時
  6. 薬剤を混合する(1薬剤ずつ吸い上げる)
  7. 薬剤混合に使用した針はリキャップせず慎重に針を外し針廃棄容器に破棄する
  8. 点滴ボトルに注射ラベルを貼る
  9. 輸液セットを開き、輸液セットのクレンメを閉めて、点滴ボトルのゴム栓をアルコール綿で消毒後、点滴セットの針を『OUT』部にまっすぐ刺す
    まっすぐ刺さないとコアリングがおこる可能性がある

    コアリングとは、バイアルのゴム栓に注射針を穿刺する際,針のヒール部によってゴム栓の一部(ゴム片)が削り取られる現象を言います。混入した薬液を患者さんに投与してしまうといったリスクになります

  10. エア針が必要な物は『AIR』部に刺す ボトルが瓶の場合はエア針が必要な事がある
  11. 輸液セットの滴下筒の1/3まで液をいれ、ルート内を薬液で満たし、クレンメで止める薬液が滴下筒に全部満たされてしまうと滴下が見られない
  12. 必要物品を持って患者のところへ行く

患者の準備

  1. 準備した薬剤を患者の所に持って行き、注射の説明(薬、目的、用量、用法、時間、副作用を説明し同意を得る
  2. アルコールによるアレルギーの有無を確認する
  3. 事前に排尿を済ませておくよう説明する

実施

  1. 患者自身にフルネーム、生年月日を名乗ってもらい薬剤に貼付しているラベルと間違いがないか確認する(患者自身で名乗れない時は、リストバンドで確認する)

    患者に名前を見せたり、看護師が名前を呼んで確認する方法は絶対にやめましょう。患者誤認の危険性があります。

  2. リストバンドと注射ラベルのバーコードを読み取り「○」を確認し、【確定】をする
  3. 注射部位に応じて、カーテン、毛布、バスタオルを使用し、不必要な露出を避ける
  4. 安楽な体位にする
正しい6R  ~声だし、指差し呼称しましょう~
(1)正しい患者(Right Patient)
(2)正しい薬剤(Right Drug)
(3)正しい目的(Right Purpose)
(4)正しい用量(Right Dose)
(5)正しい用法(Right Route)
(6)正しい時間(Right Time)

点滴静脈内注射の実際

  1. 穿刺部位の選択
    ・できるだけ上肢(前腕・手背)の皮静脈、正肘皮静脈とする
    ・できるだけ太い血管で患者の動きが制限されない部位で観察がしやすい部位を選択する
    ・神経の走行に注意して穿刺する
注射に不適切な部位
・循環障害がある四肢
・麻痺のある四肢
・腫瘍のある四肢
・腋下(わきのした)リンパ節郭清をしている患側上肢
・透析患者のシャント側
・皮膚に炎症や感染を起こしている部位

2. 手指衛生をし、未滅菌手袋を装着する

「手指衛生5つのタイミング」の「患者に触れる前」ですね。手指を介して伝播する病原微生物から患者を守るために行います。

3.  穿刺部の消毒を行う

~穿刺時または、点滴開始時の注意点~
・穿刺時に、患者が指先にピリッとするような痛みや痺れを訴えた場合は、神経損傷の可能性があるため直ちに抜針する
・血管確保後、必ず血液の逆流を確認する
・1回で穿刺できなかった場合、同側で次の穿刺を行う場合は1度目よりも中枢側を選択すると血管外漏出のリスクが軽減できる

4.  穿刺・固定の方法
~翼状針の場合~ 翼状針の適応:一時的あるいは短時間の静脈点滴注射
① 穿刺部から10cm程度中枢側に駆血帯を巻く
② 静脈を怒張させ、血管の走行を確認しながら穿刺部の皮膚を消毒する
③ 利き手で翼状針の翼を折りたたむように拇指と示指でつまむように持つ
④ 反対側の指で穿刺部を伸展させ、静脈と皮膚を固定する
⑤ 静脈の走行に沿って、針の切り口(刃面)を上向きにして10~20度の角度で刺入する
⑥ 血液の逆流を確認しながら、針を基部近くまで挿入し、駆血帯を外す
⑦ 針の翼を開き、絆創膏で固定する
⑧ 点滴セットのクレンメを緩め、滴下状態を確認し、指示された滴下速度に調節する
⑨ 点滴ラインを固定する。確実に接続、固定ができているか、点滴から刺入部までのラインを指さし・声だし確認する
⑩ ナースコールの位置を確認し、施行中は、滴下数・残量・固定状況・接続部の外れ・チューブの圧迫や屈曲・刺入部の状況・患者の反応などを定期的に観察する
⑪ 終了後は乾綿またはブラッドバンで止血するまで、5分程度圧迫する
⑫ 片付けをする

~留置針の場合~
① 使用する針や接続部分に破損がないか確認する
② 穿刺部から10cm程度中枢側に駆血帯を巻く
③ 静脈を怒張させ、血管の走行を確認しながら穿刺部の皮膚を消毒する
④ 利き手でガイド針の基部を持ち、針の切り口(刃面)を上向きにして約30度の角度で静脈に沿って穿刺する
⑤ ガイド針が血管内に入ると、ガイド針の基部に血液の逆流が見える
⑥ 留置針を少し寝かせ、さらに2~3mm針を進める
⑦ 留置針の外筒のみを根元まで挿入する
⑧ 駆血帯を外し、金属針を抜去する
⑨ 輸液セットを接続し、コネクターを締める
⑩ 留置針を透明フィルムドレッシングで固定する
⑪ 点滴セットのクレンメを緩め、滴下状態を確認し、指示された滴下速度に調節する
⑫ 点滴ラインを固定する。確実に接続、固定ができているか、点滴から刺入部までのラインを指さし・声だし確認する
⑬ ナースコールの位置を確認し、施行中は、滴下数・残量・固定状況・接続部の外れ・チューブの圧迫や屈曲・刺入部の状況・患者の反応などを定期的に観察する

留置針の交換頻度
長期留置の場合には概ね96時間(4日)毎に留置針を刺し替える。透明フィルムドレッシングに実施日を記入する
輸液セットの交換頻度
・血液・血液製剤または脂肪乳剤を投与した場合には、点滴開始から24時間以内に輸液セットを交換する
・血液・血液製剤または脂肪乳剤を投与しない場合は72時間から長くても96時間毎に交換する

小児、成人で留置する血管が限られる場合には、感染兆候に注意しながら4日以上留置する場合もありますよ

敵下数の計算方法

成人用の場合(20滴=約1ml)
点滴速度(ml/h)÷60(分)×20(1mlの滴下数)=1分間の滴下数
小児用の場合(60滴=約1ml)
点滴速度(ml/h)÷60(分)×60(1mlの滴下数)=1分間の滴下数

観察

  1. 刺入部の皮膚の観察(発赤 腫脹 熱感 疼痛)
  2. 薬剤の効果・副作用
  3. 点滴の滴下状態
  4. 輸液セットの接続部の状況(緩み 漏れ 破損 三方活栓の向き)
  5. 固定状態(テープの剥がれ 汚染)
  6. 必要時:血液逆流を確認する

ちょっと一言

筆者は新人の頃、点滴の敵下を合わせるのはとても苦手でした。あとちょっと!っていうときには、指の先で“チョンチョン”って、はじくように合わせたら上手くできますよ!一昔前までは、敵下数を合わせるのに、一生懸命計算していましたが、今は簡単に計算できる“専用の電卓”や“カード”などがあり、焦っていても正確な数値がだせます。ぜひみなさんも活用してみてくださいね。

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