せん妄の看護

看護
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「これってせん妄?認知症?もともとのキャラ??」
なんて思いながら患者さんと関わることはよくある光景です。
「昼間は何ともなかったのに」「家では変なこと言ったことなかったのに」「急にボケた?」等、家族も患者さんの変化にとまどう場面が多くあると思います。

環境が変わり、発症することの多いせん妄。
せん妄の発症は、年々増加しています。
超高齢化社会を迎えている今、せん妄の発症は減少することはありません

また、術後せん妄は、 転倒・転落や安静保持困難、各種カテーテルの自己抜去などを引き起こし、術後の経過に大きな影響を与えます。そのため、術前からせん妄のリスク因子を把握して対策を講じ、発症した場合には早期に対応していくことが重要です。

今回はせん妄の看護についてポイントを絞っていきたいと思います。

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せん妄とは

認知症とせん妄の違い

せん妄とは、高齢者に多く発症する一種の意識精神障害です。症状が認知症と似ていますが、せん妄は突然発症し、数時間から数週間にわたり症状が継続します。症状が時間とともに変化するのもせん妄の特徴です。

認知症せん妄
発症時期数か月から年単位数時間から数日
症状の経過緩徐に進行多くは一過性・一時的
日内変動ほぼないある 夜間に増悪
意識障害ないある(軽度~中等度)

認知症とせん妄の違いを確認する際、家族に○○さんはいつもと違いますか?」と尋ねてみることが大切となります。

不穏とせん妄の違い

不穏とは:おだやかでないこと。興奮していること。

せん妄とは:注意障害を伴う意識障害。認知機能障害や精神症状を伴う症候群。

せん妄の影響

せん妄の影響は、患者自身、ご家族、医療従事者にも起こり得ます。

患者

  • 危険な行動・事故
    点滴を自己抜針したり、ベッドからの転落など、危険な行動dから医療事故に発展することがあります。
  • 意思決定能力の低下
  • 予後の悪化 合併症・死亡率の増加

家族

家族とのコミュニケーションの妨げ
「せん妄」とう言葉自体を知らない家族はたくさんおられます。急に意思疎通ができなくなった場合、家族は不安になり、病院に入ったからおかしくなった。と言われる家族も多くおられます。
「せん妄」についての正しい知識の普及を、パンフレット等で説明することが求められます。

医療スタッフ

  • 痛みなどの評価が困難
  • 医療スタッフの疲弊
  • 入院の長期化
  • 治療コストの増加

せん妄の診断

  1. 意識障害と注意障害が存在
  2. 認知の障害(記憶障害、失見当識など)・知覚障害(幻覚など)
  3. 短期間(数時間-数日)で出現、日内変動がある
  4. 身体疾患(感染、低酸素など)、物質(薬剤、アルコール) などの原因がある

  上記、全てを満たせばせん妄と診断されます

せん妄の症状

注意の障害(意識障害)

  • 目がギラギラしている、話しをしていてもすぐに目を閉じる
  • 「手を握ってください」と言っても持続して手を握っておくことができない
  • 慎重性に欠ける行動

精神症状興奮
・不眠・幻覚(幻視が多い)

認知症状
・記憶障害・見当識障害

せん妄の治療

せん妄の治療には、原因に対するアプローチが優先になります。薬物療法は、あくまでもわき役で、対処療法となります。

せん妄では、その原因を取り除くことが可能かどうかによって、治療目標や薬物療法などが異なります。

看護師の役割

せん妄発症の因子

せん妄は、3つの因子から考えることが大切です。

準備因子
70歳以上、せん妄の既往、認知症、脳の疾患、飲酒、BZ系睡眠薬など

直接因子
手術、感染症、呼吸・循環・代謝・脳神経疾患、薬物(抗コリン薬、BZD系薬剤など)

誘発因子(看護介入できる)
環境変化、感覚遮断、睡眠障害、身体拘束、ライン類、禁飲食、心理的ストレス(不安)身体的ストレス(痛み・かゆみ・頻尿・便秘・暑さ寒さなど)

看護師は
準備因子』があればせん妄ハイリスクと捉え、
直接因子』の治療が計画的に行えるよう看護し、
誘発因子』を減らせるように支援していくことが大切

ちょっと一言

今まで、数多くのせん妄の患者さんと関わってきました。筆者が新人の頃の話ですが、今でも忘れられない経験があります。
ICUから帰室した手術後の患者。帰室直後は痛みもなく、会話も可能、普段と変わらない様子でしたので、センサーを付けることなく、経過を見ていました。30分後に訪室した時には、すべてのドレーン類を抜き、血だらけになり、笑顔でベッドの上に正座していました。
当然、ReーOPです。

今考えると、上記に述べた「せん妄発症の因子」にすべて当てはまっており、予測可能だったのですが、当時は目の前の看護に一生懸命で、見えていなかったのです。
また、その時のリーダー看護師の役割も十分に発揮できていなかったこと、ICUとの連携もとれていなかったことも、この事例を引き起こしてしまった因子です。

この経験から立ち直るのに当時は時間かかりましたが、のちの、せん妄看護、医療安全視点、指導、に生きていると思っています。

しかし、これらの経験をしたからと言って、すべての患者にせん妄を疑うことではなく、せん妄と決めつけないという事とせん妄だからと安易に考えないという2つのことを大切に思っています

何度も起き上がったりする患者は、実は痛みがあった等、患者の声を丁寧に聞き、表情や行動からくみ取ることが大切で、しっかりとアセスメントをして看護をしていきたいと思います。

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