酸素療法

看護技術
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酸素療法とは、室内空気より高い濃度の酸素を投与することです。簡単に準備・実施できますが、何よりもアセスメント能力を必要とする看護技術です。酸素療法開始、投与中、今後の予測。患者の状態変化を見逃さないよう、注意深く観察をしていくことが大切です。ここでは中央配管の手順について述べていますので、注意点を確認しながら学んでくださいね。

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目的

  • 高濃度の酸素を吸入することにより、組織の酸素の欠乏した状態、すなわち低酸素症を治療・予防する。
  • 低酸素症によって引き起こされた換気亢進や心拍出量増加を抑制し、呼吸仕事量を軽減する。

必要物品

酸素アウトレット、中央配管用酸素流量計、指示酸素が4L以下のとき視流計、指示酸素が4L以上のとき蒸留水入りの加湿瓶、パルスオキシメ-タ-、必要時心電図モニター

鼻腔カニュ-レの場合・・・鼻腔カニュ-レ、必要時延長チュ-ブと連結管
マスク法の場合
フェイスマスク法・・・フェイスマスク、必要時延長チュ-ブと連結管
リザーバー付きマスク・・・リザーバー付きマスク、必要時延長チュ-ブと連結管
インスピロンマスク・・・フェイスマスク、蛇管、濃度調節アダプタ-、酸素チュ-ブ、蒸留水(アクアパック)、Yコネクタ-付きウォータートラップ

方法・留意点

~火気厳禁~
酸素は空気より比重が大きく、酸素自体は燃えないが、他のものを燃やす支燃性ガスである。

酸素吸入の準備

  1. 酸素用配管口(アウトレット)の栓を外し、流量計と指示酸素量により蒸留水入り加湿瓶を取り付ける。
  2. 流量計を開き、酸素が流出することを確かめる。
    (患者に装着する前に、必ず酸素の流出を確認する)

酸素吸入開始時期

  1. SpO2 60以下
    SpO2 90以下
    あるいは中心性チアノ-ゼがある時
    小児の場合はSpO2 94以下
    (疾患によっては医師から指示があるので確認する)
  2. 低酸素症が予測されるとき
  3. 低酸素症の有無にかかわらず、重症外傷、急性心筋梗塞、麻酔後、外科手術中
  4. その他 酸素投与が必要と判断された場合

酸素療法の注意

  1. 禁忌・・・パラコ-ト(除草剤)中毒患者
    各臓器に毒性が蓄積されるが、特に肺に影響し、酸素中毒をおこしやすい為
  2. 高濃度酸素を長時間吸入すると、酸素中毒(胸骨下の不快感.四肢の知覚鈍麻.呼吸困難など)を呈することがある。
  3. 呼吸中枢の抑制・・・長時間低換気の患者に高濃度酸素を投与すると、CO2ナルコーシス(頭痛.生あくび.意識障害など)を呈することがある。
  4. 無気肺・・・高濃度酸素を吸入すると、体内から窒素ガスが洗い出され、呼吸性無気肺を呈することがある。
  5. 未熟児網膜症・・・未熟児に高濃度酸素を投与すると、失明することがある。
  6. 小児の場合、酸素流量の上限あり。
    カヌラ・マスク共に3Lまで。吹き流しは5Lまで。(緊急時や疾患によってはこの限りではないので、医師に指示を確認する)

    小児喘息の場合は、流量(4L未満)に関係なく、加湿することが望ましいです。

酸素療法中の看護

  1. 酸素は無色、無臭、の気体であり、空気より重く、引火爆発を助長する働きがある。引火に対する安全管理、直接火を有する物の持ち込みを厳重に阻止する。たばこ、ライタ-、カイロなど
  2. 禁煙の徹底
  3. 酸素療法に対する、不安や恐怖の除去に努めるとともに、患者家族に酸素投与の必要性、注意事項(火気使用禁止、酸素流量計に触らないなど)を十分に説明する。
  4. 酸素療法は治療であり、医師の指示に従い施行する。

酸素吸入の中止・終了

  1. 患者の状態が安定し、不要になれば酸素吸入が中止となる。
    医師からの説明内容の確認をする。また患者が理解しているか確認し、了解を得て説明後施行する。
  2. 酸素流量計を0にし、酸素投与を中止する。
  3. 患者の顔の酸素をはずす。
  4. 中央配管、流量計をアウトレットからはずし、アウトレットに栓をする。加湿瓶を流量計から取りはずす。
  5. 加湿瓶を洗浄後、乾燥させる。
  6. 使用物品を所定の位置に戻す。

    酸素を終了したら、必ずコストを取りましょうね。〇時〇分~〇時〇分3Lなど、時間と投与量が必要です。

観察・注意点

  • 流量計(指示の酸素量)接続管、加湿瓶、鼻腔カニュ-レまたは酸素マスクの状態(正しい位置か、酸素流量状態)、患者の一般状態・反応、酸素投与前後のSpO2の値
  • 長期使用の場合は鼻腔カニュ-レやマスクは2週間毎に交換する。
  • 酸素が正しく流出しているか確認するために視流計を装着する。
    指示酸素5L以上の場合は蒸留水入りの加湿瓶を使用するため、気泡の発生で酸素流出が確認できるため、視流計は必要ない。
    浮き付きの流量計は浮きで酸素の流出を確認できるため視流計は必要ない。
  • 浮き付きの酸素流量計の酸素流量を調節するときは、目線を浮きの位置に合わせる。(目盛りを斜めから見ると正しく読み取れない)
  • 指示酸素量が4L以上で加湿瓶を使用する場合は、瓶が確実に締まっていることを確認する。

酸素ボンベ

酸素ボンベの種類には、300、500、1500、6000Lの4種類がある。
150Kg/㎝2の圧で圧縮されている。
ボンベは黒色に塗られており、主流は500Lのものである。
酸素ボンベの使用可能時間の計算
ボンベ内の酸素量を1分間の流量で割れば使用可能時間の概算が計算できる。
例)500L酸素ボンベ(内容量3.3L)でボンベの圧力が8を示しているとき
3Lの酸素で使用した場合の使用可能時間は
使用可能時間(分)=ボンベに印字されている内容量(L)×圧力×10を流量で割る
3.3×8×10/3=88分
このボンベでは88分使用可能である。

実際、安全率を考慮し、その80%位を目安にするため、使用可能時間は70分位です。

ちょっと一言

筆者が新人の頃の話です。担当患者のOP出し後、手術室へOP後のベッドを搬送するのですが、酸素ボンベをベッドに置いていかず、よく注意されていました。。。焦ってボンベをのせて、残量にまで気が回らず、残量計算することもなく、残量が少ないまま運んだこともあります。幸い患者に影響はありませんでしたが、流量が多いほど、酸素の減りは大きいわけですから、移動途中で酸素残量がなくなることのないよう、みなさんも安全な視点で看護を行ってくださいね!

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