ラクツロース浣腸~肝性脳症治療~

看護技術
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肝性脳症の患者さんは、中枢神経症状によって、興奮したり不穏な行動があったりします。患者さんの安全を守るために、どうしたらいいかと悩んだことも多々あると思います。
肝性脳症とは肝臓の機能の低下により、肝臓でのアンモニアの解毒作用が低下し、血中のアンモニアが上昇している状態です。アンモニア値を下げることが大切で、そのための手段の一つとしてラクツロース浣腸(注腸)があります。
今回はラクツロース浣腸について学びたいと思います。

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目的

急激な肝性脳症による意識障害の改善

必要物品

イリゲーター イリゲータースタンド 経管栄養セット ネラトンカテーテル(21~24Fr) 潤滑油 微温湯または指示の薬液 温度計 計量器  クリニカルシーツ バスタオル 必要時便器および便器カバーまたはポータブルトイレ 紙おむつ トイレットペーパー 未滅菌手袋 ディスポーザブルエプロン 擦式アルコール消毒剤

方法・留意点

 実施前の準備

  1. 指示の確認をする
  2. 可能な限り患者に直腸内薬物投与の必要性、体位、方法を説明し承諾を得る
  3. 事前に排尿を済ませてもらう
  4. 指示の薬液の用意

    薬液の温度は43度以上では高すぎて粘膜を損傷させる可能性があり、温度が低すぎると毛細血管が収縮し、血圧上昇や悪寒が起こる場合があります。

高齢者では生理機能が低下していることが多く、少量から慎重投与する必要がある

ラクツロース浣腸の実際

急激な肝性脳症の場合、意識障害が主な症状のため、内服による便通コントロールが困難となるため、浣腸により排便を促進させ、アンモニアの腸管内吸収を阻害する
アンモニア(NH3):正常値12~66μg/㎗
  1. 主治医の指示量のラクツロースシロップを、微温湯もしくは生理食塩水に薄めて、体温程度にする
  2. 1日1~2回施行し、毎日適量の排便があるように調整する
  3. 観察項目
    ①腹痛、腹鳴・鼓腸の有無
    ②嘔気の有無
    ③排便の量、性状
    ④血液データ

    急激な肝性脳症の場合、意識障害が出現していることが多く、この場合、患者の全身状態の観察強化とともに、施行中は患者のそばを離れないようにしましょう。

     

おわりに

肝性脳症の患者さんは、不穏行動による、転倒転落や点滴やバルンカテーテルの自己抜去などを引き起こすことがあります。患者の安全を守るために、介護衣の着用や、テントウムシ等のセンサーを付けることも検討していく必要があります。
私は黄疸の患者が入院してこられたら、必ずアンモニア値を確認しています。それが次の看護に繋がるきっかけの一つだと思っています。
医師にまかせるだけでなく、私たち看護師も、検査データを確認し、患者のアセスメントを行い、チームで介入できるよう取り組んでいきましょう!

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