“カンファレンス”って何?どんなことするの?って悩んでいる人も多いと思います。
看護学生は病棟実習でカンファレンスを開催することになるでしょう。そして看護師として働き始めたら、チームで、あるいは多職種を交えて、患者により良い看護を提供するために、カンファレンスを行うことになると思います。しかし、カンファレンスの問題点はたくさんあります。
今回はカンファレンスの運営について説明していきますね。
・多忙によりカンファレンスが開催できない
・カンファレンス中にナースコールの対応等でメンバーが何度も中座する
・発言者が隔っている
・議題がない。議題は山ほどあるのに、それを出すのが難しい など・・・
カンファレンスの定義と目的
カンファレンスの定義
定義には以下の定義がよく用いられています。
- 利用者に関するアセスメントを共有し、今後の計画を立てて、協働して実行していくためにあらかじめ計画された会議(1997、野中)
- メンバー間の援助計画を作成し、その計画を共有すること(2000、白澤)
- 対人関係の支援過程の中で、多職種で構成されたチームによって開催される会議(2010、篠田)
カンファレンスの目的
- 個人の体験をチームで共有し、チーム全体の技術水準を高める。
- 個々の患者への看護計画の妥当性の検討を行う。
- チームメンバーの意思統一を図り、効率的な看護実践を目指す。
- 共同学習により新知識の習得。
- 患者の見方を育てる。
- 多職種との連絡調整を行う。
まとめると、「メンバー間の意見交換により、情報の共有化を図り」つつ、「多面的なアセスメントや意見交換 による対象理解の深化と有益な支援方法を検討」し、「信頼関係を構築しながらチ ームを成長させる」ということが目的となります。
カンファレンスの運営
カンファレンスの流れと司会の役割
カンファレンスの基本的な流れを[開催]から [終了後]までの7段階でとらえ、その中で司会進行の役割を紹介します
Step1 開催の宣言と目的の明確化
はじめにカンファレンスの目的や議題、進行の流れと到達目標、共通ルールについて説明し、終了時間の周知を図ります。
・時間厳守のルール
・案内の5W(目的・日時・場所・参加者・議事内容)と1G(具体的な成果)を明記
・発言保障のルール(何を発言してもいい)
・共同責任のルール(カンファで決まったことは行う)
・実行評価のルール
Step2 参加者の紹介
・メンバーの自己紹介
・メンバーの役割を紹介
・カンファレンスで用いる資料の紹介
院内で働く者同士は顔見知りでも家族や外部からの参加者は初対面となることも多く、自己紹介は大切です。場の雰囲気づくりをしましょう。
Step3 患者・家族の意向、現状と課題、その対策についての報告
患者・家族の意向、現状と課題その対策について報告します。
司会者は発言を促します。
Step4 情報と課題の共有
メンバーの持つ情報と分析した課題について、意見交換し、患者の全体像を共有する。
ここでは患者・家族の視点からサポートに徹し、不足している情報や専門用語などに関しては、追加説明をします。
Step5 目標と設定と具体的な支援方法の決定
いつまでに、どのような状況を目指すのかといった長期、短期目標を設定し、具体的な支援方法を決定する。司会者 は目標についての発言なのか、支援についての発言なのか整理して、ポイントを 要約する技術が求められます。
Step6 役割、期間の確認と計画案の修正
支援方法の展開を併せて、その支援を誰が担うのか、具体的かつ実際的な手順や実施期間について確認します。
Step7 閉会(まとめと残された課題の確認)
カンファレンスの合意事項と残された課題、次回の開催予定を確認します。
最後には必ず参加者へ感謝の言葉を述べて閉会しましょう。
司会者に求められる役割と技法
役割
- 参加者が積極的に意見交換ができるようにサポートする
- 参加者間の相互理解を促す
- 場の雰囲気をつくる
技法
- 段取り
・時間を管理する
・討議のステップ(段階)を踏む - 場づくり
・環境(机の配置・席順)を整える
・雰囲気を整える - リーダーシップの技法
・参加者の多様性を理解する
・柔軟な視点や発想を大切にする - コミュニケーション技法
・共感と承認
・発問して発言を引き出す
・沈黙を切り開く
・観察して汲み取る - 倫理的思考の技法
・対立する自他の感情に気づく
・議論を構造化する
・合意形成を図る
参加者に求められる役割
- 役に立つ発言をする→有効な発言をする
- 決定に責任を持つ
- メンバーシップを発揮する
さいごに
忙しい医療現場では、まずカンファレンスが開催されること、そしてカンファレンスで、色々な意見が交わされることが目標といえるでしょう。カンファレンスには「ケースカンファ」「退院支援カンファ」「倫理カンファ」「周術期カンファ」「リハビリカンファ」など、様々なカンファレンスがありますが、中でも、「倫理カンファレンス」は倫理的な感性を養うため、看護師には重要だと言えます。ぜひ、みなさんの病棟で、数名からでも、短時間でもいいのではじめてみてくださいね。
参考文献:篠田道子「チームの連携力を高めるカンファレンスの進め方」日本看護協会出版会
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