エンゼルケア②

看護技術
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看護師から話を聞くと、「死後の処置に慣れてきた」という言葉を聞くことがあります。
看護師をしていると、人の死が当たり前のようになり、業務の一部となってしまう感覚でしょうか。悲しみもなく流れ作業のようになっているのでしょうか。
「死後の処置に慣れてきた」と聞いたら、上記のような事が考えられてしまいます。
私たちは看護専門職として「死後の処置の回数を重ねるに当たり、マニュアルを見なくても根拠を考えながら、準備物品が整えられ、その人の最善を考えたケアをすることが出来る」ことが、「慣れてきた」と解釈したいものです。

エンゼルケア①では主に技術について述べましたが、②では遺体の変化やクーリングの根拠について述べていきたいと思います。

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死後の処理

遺体への処置は、心肺停止が開始点となります。(恒常性が消失したら)
そのため、遺体への処置は死亡直後の処置が効果的となります。

早いケースでは、死後30~60分で下顎硬直が始まり、開口が困難となり、口腔内ケアも困難となります。

死亡直後から遺体内の腐敗原因菌は増加するので、遺体へのクーリングは、早ければ早いほど効果的です。

遺体クーリングの目的

死後の遺体悪化は、遺体内部と遺体外部から発生します。
遺体内部の悪化は、クーリングすることで防止できます。

遺体内部の悪化
腐敗現象・・・微生物の増殖による分解(腐敗)
科学変化・・・科学物質の変化、酵素の過剰作用

クーリングによる効果

  1. 微生物(細菌)の繁殖抑制による腐敗防止・遅延
  2. 病原微生物の生育温度域低下により感染抑制
  3. 酵素活性・反応温度以下により不活化
  4. 化学反応は低温度では反応時間が長くなる

    クーリングは古典的方法ですが、最も簡便で確実な方法です!

クーリングのポイント

コア温度の高い部位

  • 頭蓋腔内(脳・脳下垂体)
  • 胸腔内(・心臓)
  • 腹腔内(肝・胃・膵・脾・腎・副腎・・膀胱・子宮)

細菌の常在している部位から腐敗は始まります。
遺体の腐敗は常在細菌で起こります

肺や腸で増加した腐敗細菌が全身に拡散します。
そのために、肺と腸のクーリングが必要です。

 

黄疸遺体への対応

黄疸とは

黄疸とは
ビリルビン蓄積により皮膚等が黄染すること

ビリルビンとは
弾性繊維(エラスチン)との親和性強く、エラスチンの多い部分に黄疸症状が強く現れます。

エラスチンとは
→20歳代がピークで、40歳代では50%以下に減少する。

エラスチンの多い部位は
→強膜(眼球の白い部分)、真皮など

・肌のハリが弱く、しわの多い遺体では黄疸症状は弱くなります。
・若い遺体は黄疸症状が強くなりなす。
・遺体の黄疸症状は、死後24時間以降に強くなります。

黄疸遺体の処置対応

ビリルビンの除染処置
皮脂や汗にもビリルビンが含まれているため、黄疸のある遺体では顔のビリルビンの除去も大切です。
酒精綿で拭く
次亜塩素酸ナトリウムで拭く
→500~1000倍に希釈し清拭する。次亜塩素酸はビリルビンに効果が高いため

黄疸症状の強い遺体→黄色のカバーメイク

 

法律での遺体の立場(国内)

医療  医師の死亡確認後→患者さんから遺体となる
民法  医師の死亡確認後→から物体となる
生きているときは乗客、死亡後は貨物となります
患者さん一人は、運賃。遺体は1㎏の料金

日本では遺体に関する法令は存在しません。

看護師の立場として
生きていても、死亡をしても、患者さんに違いはありません。
施設を出るまでは患者さんとして対応しましょう。
在宅においては、最後まで患者さんとして対応しましょう。

 

参考文献:メディカル情報サービス、遺体管理学

 

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