デス・カンファレンスとは

看護
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終末期看護に携わると、患者さんの死は避けられません。看護をする上で「これでよかったのか」「もっとできることがあったのではないか」と看護師自身がジレンマを生じることも少なくありません。自分たちが行った看護を振り返り、出来たことは認め合い、よりよい看護のために改善点を明確にしたり、情報共有を行うことで、自分自身も成長していけます。この振り返りのことをデス(死亡症例)カンファレンスといいます。

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デスカンファレンス準備

目的と意義

  • 亡くなった患者のケアを振り返り、今後のケアを高める
  • ディスカッションをとおし、看護師個々の成長を支援する
  • チームメンバー間の相互理解を深め、スタッフ間の連帯感と協働の意欲を熟成させる
  • スタッフのグリーフケア

    グリーフケアとは、身近な人を亡くし、大きな悲しみに暮れている人をサポートする、遺族ケアの一環です。 ここでは、患者さんを亡くした看護職スタッフを対象にします。

    どのようなプロセスを経て、精神的、肉体的に立ち直り、正常な日常生活へ戻っていくかを考え、それをサポートする役割を果たすことをいいます。

確認ポイント

  1. 目的(何のためにデスカンファレンスを行うのか)が共有されているか
  2. デスカンファレンスのゴールが共有されているか
  3. デスカンファレンスのルールが共有されているか
  4. メンバーの役割が理解され、共有されているか
  5. 話し合いの道筋、プロセスが参加者に理解されているか
  6. 必要なメンバーが参加されているか
  7. 1回1回ごとにデスカンファレンスの成果が共有されているか

デスカンファレンスのルール

  • 事例提出者が困っていること、悩んでいること、明らかにしたいことに添って話し合うこと
  • 批判しない、非難しない、説教しないこと
  • 愚痴や文句に終始しないこと
  • 肩書や立場を離れ、自由に意見を出し合う
  • 人の話をよく聴き、相手の立場を尊重する
  • 思い込みや聖域を捨て、ゼロベースで考える
  • 発言は一人3分以内。話をまとめてから発言すること
  • 一人1回は必ず発言する
  • 断定的な言い方は避けるようにする
  • 限られた時間を最大限、効果的なものにするために協力する

役割分担

マネージャー
教育的視点、チーム全体のパフォーマンスの向上の観点から、いつ、どのように事例を取り上げるのかをマネジメントする。

事例提供者
事例に関する資料の提供と検討の目的の提示

その他のメンバー
事例提供者の検討目的、議論の流れに沿って積極的に意見を出し、提供者をサポートする

ファシリテーター
チームメンバー間の相互作用を促し、話し合いの舵取り役

書記
ファシリテーターが記録係を兼ねることも可

ファシリテーションとは、人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取りすることです。その役割を担う人がファシリテーターであり、会議で言えば進行役にあたります。

デスカンファレンスの実際

検討目的の明確化

カンファレンスの要は検討目的が明確であること
  1. 全体を見渡し、全体的に評価する
  2. 出来たこと、できなかった事を区別する
  3. 出来たこと、できなかった事を象徴する場面やエピソードを思い浮かべる
  4. その場面の中に、今後に向けて明らかにするべきものが隠されている

そして→スタッフの不全感や悩みを取り上げ、うまくいった援助プロセスに潜むケアのコツや今後に生かせるポイントを共有します。

検討方法

検討目的が明確になったら、その目的に添って検討方法を考えます

達成感があるかどうかで検討方法を考えていきます。

達成感なし・・・深めるデスカンファレンス
不全感はどこからくるものか、分析的に検討する。
達成感あり・・・拡げるデスカンファレンス
評価を補う、意味づけを行う。今後に生かせる方策を得る。

カンファレンスの評価

効果的なカンファレンスが行えたか、自己評価をし、次回につなげていきます。

司会者のチェックポイント

  • カンファレンスの目的は達成できたか
  • 場所の環境整備など事前準備ができたか
  • 参加者が積極的に発言できるよう支持できたか
  • 参加者の発言を要約したり言い換えたりし、伝えることが出来たか
  • 発言や情報を引き出すことができたか
  • 発言の調整や整理ができたか
  • 発言から論点を抽出できたか
  • コンフリクトから相互作用に転換できたか
  • 患者や家族、主催者、参加者は満足しているか

    コンフリクトとは、衝突や矛盾の意味のことです。

参加者のチェックポイント

  • カンファレンスに積極的に参加できたか
  • 提出資料の提出など事前準備ができたか
  • 受容的・許容的な雰囲気づくりに貢献できたか
  • 自分の考えや意見を他の参加者に伝えられたか
  • カンファレンスの中で疑問に思ったことを質問できたか
  • 参加者の立場からカンファレンスの流れをリードできたか
  • 「主張・理由」の発言パターンが発言できたか
  • 参加者間で情報交換や情報共有ができたか
  • 他参加者の発言を引用や改良して発言できたか
  • 多様な対応策を提案できたか
  • 新たな気付きや見解が得られたか
  • カンファレンスに満足したか

おわりに

デスカンファレンスを行うときに大切なのは、私たちの看護を言語化して明確にしておくことです。日々のカンファレンスで、互いの意見や気持ちを率直に伝え合い、治療やケアの方針の考え方のずれを調整できるようになれば、デスカンファレンスでは治療やケアの評価を中心に行えるようになります。そうすることで、デスカンファレンスの中でも、医療者の悲嘆作業の時間をもっと持つことができるようになると思います。看護にはすべて意味があります。患者とのかかわりをこれからも大切にして関わっていきましょう。

参考文献:千葉大学教育学部ケースメソッド教育カリキュラムラム開発プログラムチーム、平成20年度報告書、2009

 

 

 

 

 

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